既存病院の建替えに伴う医療機能の分化整備方針により、市北部地域の中核病院として、救急やがん医療などの高度・急性期医療機能に特化するとともに、災害拠点病院やへき地医療拠点病院機能の強化・拡充を目指した施設整備。
環境に優しい病院づくりを実現するため、自然エネルギーの活用を行っています。太陽光発電パネルの設置、さらに太陽光集光装置を導入し、光ファイバーにて各階エレベーターホールに太陽光を導いています。他にも木製受水槽採用によるLCCO2の低減、各種シミュレーションなど、環境配慮への取り組みを行い、建築環境総合性能評価システム(CASBEE広島)最高クラスの「Sランク」を取得しています。
本プロジェクト敷地の中央には、南北に縦断する公道が計画されており、東側敷地の病院と西側敷地の医師住宅をいかに結ぶかが課題でした。解決策として、プロポーザル時より、歩行者動線と車両動線を明確に分離できる歩行者専用ブリッジを提案し、夜間も含め緊急時の迅速な対応を実現しています。
新病院では、スマートフォンを活用した患者呼び出しサービスを想定し、「待たせない外来」の実現を目指しています。外来エリアで待たなくてもよいので、空き時間をより快適に過ごすための空間づくりを西側正面玄関すぐのところにアメニティスペースとして整備し、病院とは少し雰囲気を変えたインテリアとしています。
広島市豪雨災害を教訓に、一級河川太田川の洪水対策として、敷地地盤を約3m嵩上げするとともに、集中豪雨に対応した雨水排水設備としています。また、大地震発生時にも病院機能を維持するため、免震構造を採用しています。なお、免震構造は柱頭免震とし、地下空間を来院者用駐車場として整備しています。
機械設備昌子 知広
構造仲谷 徳隆
電気設備関 修二
電気設備関 修二
意匠上岡 洋治
総括山田 剛
意匠前﨑 真一
前列左山田
前列右前﨑
後列一番目昌子
後列二番目仲谷
後列三番目関
後列四番目上岡
山田高度・急性期医療機能に特化した新病院を実現するため、広島事務所を拠点に全社からメンバーが参加、チームを編成し、さらに地元設計事務所とJVを組み本プロジェクトに取り組みました。
前崎私自身、当時は九州事務所に所属していましたが、本プロジェクトに専任するため、広島へ異動しました。初めての土地で不安もありましたが、設計から監理・竣工まで携わることができ、非常に貴重な経験だったと思っています。4年間過ごし、今では広島が第2の故郷と思えるほど愛着を感じています。
仲谷構造は京都本社で担当しました。プロジェクトチームでのコミュニケーションはTV会議などを通じて頻繁に行うようにし、施主や関係者協議の内容を密に情報共有していきました。
関電気設備、機械設備の担当は大阪事務所メンバーで対応しました。広島を中心にまさに全社一丸となって対応した印象ですね。
山田実際の設計業務において公的医療機関では多くの関係者が関わってきます。広島市立病院機構の方をはじめ、病院関係者/スタッフ、医療コンサルタントなどこれら多くの方々と建築空間を共有するために、イメージパースや模型の作成、さらにはVR(バーチャルリアリティ)を導入して、意思の疎通とスムーズな合意形成を図りました。
前崎ヒアリングについても各部門スタッフに基本・実施設計段階で4回、現場段階においても行い、トータルで5回のヒアリングを行いました。対話の設計を実践し、皆様の想いをしっかりと形にできたと思っています。
昌子その内、設備については基本設計・実施設計・現場段階でそれぞれヒアリングを行い、医療機器をはじめとした複雑な病院設備に対応しました。
前崎庇の設置や複層ガラス・Low-E複層ガラスの採用により、高い外皮性能を確保してエネルギー使用量の削減を行っています。また、外構緑化に加えて屋上緑化を行うことにより緑の量の確保に努めてヒートアイランド対策を行っています。
上岡私は、生まれも育ちも広島ですので、広島への思いも込めて、可部のまちなみへの配慮や太田川の自生種の保全など地元ならではの対応を心がけました。
昌子設備的には積極的な自然エネルギーの活用を行っています。太陽光発電パネルの設置とともに太陽光集光装置を導入し、光ファイバーにて各階エレベーターホールに太陽光を導いています。他にも木製受水槽採用によるLCCO2の低減、各種シミュレーションなど、環境配慮への取り組みを行い、建築環境総合性能評価システム(CASBEE広島)最高クラスの「Sランク」を取得しています。